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那覇家庭裁判所コザ支部 昭和49年(少交)3751号 決定

本人 D・MことD・T(昭二六・一二・二〇生)

主文

当裁判所が昭和四九年一二月二三日なした少年を保護処分に付さない旨の決定はこれを取消す。

この事件を那覇地方検察庁コザ支部の検察官に送致する。

理由

(非行事実)

少年は、公安委員会より運転免許を受けている者であるが昭和四九年一一月一六日午前二時二〇分頃軽四輪車(○-鹿-○○○○号)を石川市字○○○××約五○○米位先県道六号線を石川市字○○○より○○村字○○方面向け法定速度四○キロメートルを二○キロメートル超過した六○キロメートルで酒気を帯び正常な運転ができないおそれがある運転で且、免許証を携帯しないで運行したるものである。

(法律の適用)

道路交通法 第二二条第一項、第一一八条第一項第二号

第六五条第一項、第一一七条の二第一号

第九五条第一項、第一二一条第一項第一〇号

(理由)

当裁判所は昭和四九年一二月二三日少年を保護処分に付さない旨の決定をなしたが、昭和五〇年四月七日付検察官作成の少年事件に関する真犯人の発見についての通知と題する書面及昭和五〇年四月九日付の調査官の調査報告書によれば本人はD・T(昭和二六年一二月一〇日生)であり、D・M(昭和三〇年六月二〇日生)は同人の弟で現在兵庫県在の○○○○○重工業において溶接工として働いており、沖繩県には来た事もなく、運転免許を所持しておるが、D・Tは無免許であるので、氏名を詐称したもので、同人は審判当時満二〇歳を超えており、すでに当裁判所に審判権がなかつた事は明らかである。

少年法二七条の二によれば保護処分の取消は保護処分の継続中となつて、不処分は含まれないと解するが、D・M(昭和三〇年六月二〇日生)は本籍、氏名、生年月日等からして実在しており、不処分であつても本件の場合同人の名誉回復のためには同条を類推解釈すべきものであると思料する。よつて、同条の法意に則り同法二三条三項、第一九条二項により主文のとおり決定する。

(裁判官 下地裕)

参考一 調査報告書〈省略〉

参考二 調査報告書〈省略〉

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